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【2025年9月最新】省力化補助金などで優先採択・補助率引上げも|最低賃金引上げに伴う中小企業支援策を解説

はじめに
2025年9月9日、経済産業省から「最低賃金引上げに伴う中小・小規模企業向けの支援策」が発表されました。
今回の最低賃金引上げは、北海道でも1,010円から1,075円へと65円アップとなり、これは過去最大の上昇幅です。
燃料費・原材料費の高騰などで経営コストが上昇している中、最低賃金の大幅な引き上げは、中小企業にとっては非常に切実な問題です。
そうした厳しい経営環境に対応するため、経済産業省は既存補助金制度に対して新たな優遇措置を導入し、賃上げと生産性向上の両立を支援する体制を整えました。
本記事では、今回の支援策の全体像と、特に注目される補助率引上げ・審査加点措置の内容について解説します。
最低賃金引上げの背景と支援策の狙い
今回の最低賃金引上げの背景には、急激な物価上昇(インフレ)があり、実質賃金の低下を防ぐ目的で、政府としても最低賃金の大幅な引上げに踏み切る形となりました。
しかし、人件費の上昇は中小企業にとっては経営圧迫要因となるため、政府は「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」の中で、賃上げに取り組む企業に対する支援策を段階的に強化しています。
経済産業省による中小企業支援策の3本柱
今回、経済産業省は最低賃金引上げに対応するため、中小・小規模事業者が賃上げに取り組める環境整備として、以下の3つの柱に基づいた支援策を発表しました。

① 賃上げ原資確保に向けた価格転嫁対策の強化
価格転嫁が進まなければ、賃上げの原資を確保できない──
そうした現実に対応するため、以下の取り組みが強化されます:
- 改正下請法(取引適正化法)・振興法の着実な執行
- 発注側企業等における取引慣行の改善
- 幅広い業界での取引適正化の要請・働きかけの継続
これらにより、原材料費や人件費の上昇分を適切に価格に転嫁できる環境を整え、賃上げの実現を後押しします。
② 賃上げ原資確保に向けた補助金等による支援
各種補助金や税制優遇を通じて、中小企業の収益力強化や構造改革を支援し、賃上げの実行可能性を高めます。
- 持続化補助金などによる、地域の社会機能を担う小規模事業者の販路開拓支援
- 賃上げ促進税制により、赤字企業も含めた賃上げの後押し
- 100億企業創出を目指す成長加速化支援による成長企業の後押し
- 事業承継・M&A・再生支援等による経営資源の再構築と世代交代の円滑化
③ 生産性向上に伴う賃上げ支援機能の強化【今回の新要素】
既存の主要補助金制度に対し、新たな優遇措置(補助率引上げ・優先採択)が導入されました。
対象となるのは以下の3つの補助金です:
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- 省力化投資補助金(一般型)
さらに、厚生労働省との連携によって、相談支援体制の拡充や制度周知も強化される見込みです。
【注目】補助率引上げと審査加点の優遇措置の内容
今回の支援策の中で、最も実務上インパクトが大きいのが、「補助率の引上げ」と「審査加点(優先採択)」の特例措置です。
対象となるのは、以下の3つの主要補助金です。
- ものづくり補助金
- IT導入補助金
- 省力化投資補助金(一般型)
これらの補助金に申請する中小企業のうち、一定の条件を満たす事業者に対し、補助率が引き上げられるほか、審査面で「加点」や「優先採択」の対象となる措置が新たに加わりました。
■ 補助率の引上げ(1/2 → 最大2/3)
上記の3つの補助金(ものづくり補助金・IT導入補助金・省力化投資補助金)において、条件を満たす事業者は、通常1/2の補助率が、最大2/3まで引き上げられます。
対象となる条件:
- 指定された一定期間において
- 3か月以上、改定後の地域別最低賃金未満で雇用している従業員が、全従業員の30%以上
→ 北海道であれば、2025年度の地域別最低賃金は「1,075円」。この水準を下回る賃金で働く従業員が3か月以上、全体の3割以上存在する企業が該当します。

■ 審査加点措置の導入(採択率向上・優先採択)
さらに、上記3つの補助金(ものづくり補助金・IT導入補助金・省力化投資補助金)において、審査時の加点措置が新たに導入されました。
加点対象となる条件:
- 前述の補助率引上げの条件に該当する場合
(=最賃未満で3か月以上雇用、30%以上) - もう一つの加点要件として、
全国の引上げ目安額(63円)以上の賃上げを実施した事業者も加点対象となります。
→ この加点措置は、採択審査において「優先採択」されやすくなる仕組みであり、他社との競争の中でも有利に働きます。

■ 厚労省との連携強化
- 補助金申請にあたり、労務管理や賃上げ体制に不安のある事業者を対象に、厚生労働省と連携した説明会・相談対応を強化
- 複雑な制度でも安心して活用できるよう、相談窓口の一元化・支援体制の拡充が図られます
まとめ|補助率引上げ・優先採択は、賃金引上げに苦しむ中小企業にとって追い風に
最低賃金の**過去最大の引上げ(北海道で65円アップ)**は、道内中小企業にとって極めて大きな影響をもたらします。
しかし今回、ものづくり補助金・IT導入補助金・省力化補助金において、補助率の引上げや審査での優先採択(加点)が受けられることにより、賃金引上げに苦しむ中小企業にとって、経営再建や業務改善への「追い風」となる可能性があります。
重要なのは、「人件費増加」という危機を、「生産性向上」のチャンスに転換することです。
補助制度の内容を正しく把握し、優遇措置を活用して、賃上げと経営改善の両立を図ることが、今後の経営安定に直結します。ぜひ、今回優遇措置がでた補助金の活用をご検討ください。
参考リンク
最低賃金引上げに対応する中小企業・小規模事業者への支援策を公表します (METI/経済産業省)
https://www.meti.go.jp/press/2025/09/20250909001/20250909001.html
補助金申請をお考えの方は、経産省「認定支援機関」が運営する当センターへ、ぜひご相談ください
北海道補助金助成金サポートセンターでは、札幌市・苫小牧市・千歳市・恵庭市など道央地区や北海道内を中心に、自社での申請が難しい事業者に向けて各種補助金の申請サポートを行っています。
当センターを運営する株式会社OTisは、経済産業省から認定を受けた中小企業経営支援に関する認定支援機関(経営革新等支援機関)。補助金のプロが相談から申請・実績報告まで徹底サポートさせていただきます。
これまでも国や地方自治体の様々な補助金のサポート実績がありますので、支援をご希望の方や、自社でも使えるかなどご相談は、電話、公式LINE、お問合せフォームなどでご連絡ください。お待ちしています。
北海道補助金助成金サポートセンター
電話:050-3124-0901
営業時間:平日9:00~18:00
(お問合せフォームでのお問合せは24時間承ります)
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■■■この記事の著者■■■
中小企業専門・補助金活用アドバイザー 矢農 誠
★経済産業省認定 経営革新等支援機関 株式会社OTis(オーティス) 経営支援室 室長/北海道補助金助成金サポートセンター センター長。
★国と北海道ローカルの補助金を得意とし、大型補助金のみならず大手コンサルが扱わない100万円単位の小規模な補助金もフォロー出来ることが強み。
★1979年生まれ、市議会議員→地場飲食店チェーン本部総務部長→現職。商工会議所認定ビジネス法務エキスパート、麻雀7段。
