新事業進出・ものづくり補助金「新事業進出枠」を解説|旧新事業進出補助金との関係と北海道の採択事例

新事業進出枠を解説。旧新事業進出補助金との関係と北海道の採択事例を紹介

「新事業進出補助金(旧・事業再構築補助金)が終わってしまったが、いまはどの補助金を検討すれば良いのか」

そうした方に知っていただきたいのが、新事業進出・ものづくり補助金の「新事業進出枠」です。旧「新事業進出補助金」に相当し、今の事業とは異なる新事業への進出を支援する枠です。

特に、次のような計画を持つ事業者におすすめです。

  • 今の事業とは異なる分野に進出したい
    例えば、農業から飲食店へ、卸売業から宿泊事業へなど、自社の強みを活かして新しい事業に取り組む。
  • 新事業で使う店舗・工場などを新築・改修したい
    設備やシステムだけでなく、新事業専用の建物への投資にも補助金を活用する。

ただし、単に店舗を増やしたり、建物を建てたりするだけでは対象になりません。自社にとって新しい商品・サービスを、新しい顧客層へ提供する事業であることが必要です。

この記事では、新事業進出枠の対象事業や補助条件に加え、当センターが独自集計した旧制度の北海道の採択傾向と、具体的な採択計画を紹介します。

※制度条件は第1回公募要領等に基づく2026年10月17日時点の内容です。第1回の申請締切は2026年10月30日(金)18時です。

新事業進出枠の概要。新しい商品・サービスと顧客、建物新築・改修、通常上限と補助率、北海道の旧制度採択計画
目次

旧「新事業進出補助金」の次に検討するのは、新事業進出枠

事業再構築補助金から旧新事業進出補助金を経て、現在の新事業進出枠へ至る制度の流れ。制度ごとに要件は異なります

自社にとって新しい商品・サービスを、新たなニーズ・属性の顧客層へ提供する事業を検討する際の枠です。ただし、旧制度と同じ条件で申請できるわけではありません。過去の採択例を参考にする場合も、現在の要件で確認する必要があります。

自社の計画は新事業進出枠の対象になる?

新事業進出枠で確認する2つの視点。自社にとって新しい商品・サービスと顧客市場の両方が必要。新市場性または高付加価値性をデータ等で説明

商品・サービス等の新しさは、日本初・世界初を求めるものではなく、自社にとっての新しさです。申請する公募回の公募開始日以降に初めて取り組んでいる事業が、新規性の判断対象になります。

一方、次のような取組だけでは対象になりません。

  • 既存の商品を、設備を増やして多く生産する
  • 同じ商品・サービスを、場所だけ変えて提供する
  • 従来の顧客向けに、単にメニューや商品を追加する
  • 過去に製造・提供していたものを再開する

自社にとって新しいことに加え、「誰に、どのような新しい価値を提供するか」を説明することが重要です。

自社にとっての新しさとは別に、新事業が「新市場性」「高付加価値性」のどちらに当てはまるかを選び、データ等で説明します。ほかにも対象者・賃上げ等の要件があります。

補助額と、建物の新築に使える点

新事業進出枠の補助上限は、従業員数によって異なります。

従業員数通常の補助上限賃上げ特例適用時
1~20人2,500万円3,000万円
21~50人4,000万円5,000万円
51~100人5,500万円7,000万円
101人以上7,000万円9,000万円
  • 通常の補助率:1/2(地域別最低賃金引上げ特例の適用で2/3)
  • 補助下限:750万円
  • 機械装置・システム構築費または建物費の計上が必須

特例にはそれぞれ要件があります。通常の補助率1/2で下限の750万円を申請する場合、少なくとも税抜1,500万円の補助対象経費が必要です。小規模な改装等では、必要な投資額に届かないことがあります。

新しい店舗・工場などの建設にも活用できる

建物の新築は通常、補助金の対象になりませんが、新事業進出枠では、新事業に必要な建物の建設・改修も補助対象になります。

建物の新築に補助金を活用したい中小企業にとって、経済産業省系の主要な補助金の中では、ほぼ唯一の選択肢となる制度です。

ただし、対象は専ら補助事業のために使用する建物等です。既存事業と共用する経費や、建物の単なる購入・賃貸は対象外です。建物を建てること自体が目的ではなく、そこで行う新事業が要件を満たす必要があります。

設備・システム以外にも、外注費、専門家経費、広告宣伝・販売促進費などの対象経費がありますが、用途や上限等の条件があるため、投資内容ごとに確認します。

制度の公式サイト・公募要領

北海道の採択傾向と、具体的な新事業の計画

ここからは、旧「新事業進出補助金」第1~4回の北海道の採択実績を見ていきます。新制度の採択結果ではありません。

北海道では延べ84件が採択

当センターが公式の採択結果を集計したところ、北海道の応募は延べ239件、採択は84件、累計採択率は35.1%でした。

公募回北海道の応募北海道の採択北海道採択率全国採択率
第1回86件29件33.7%37.2%
第2回62件22件35.5%35.4%
第3回38件16件42.1%34.9%
第4回53件17件32.1%33.9%
合計239件84件35.1%35.7%

累計では全国とおおむね同程度です。第3回は全国を上回りましたが、第4回は下回っており、「北海道は採択されやすい」とは言い切れません。

札幌市以外の事業者が6割以上

採択者一覧に掲載された所在地で見ると、札幌市が32件(38.1%)、札幌市以外が52件(61.9%)でした。

旭川市5件、函館市4件、北見市・七飯町が各3件など、札幌市以外にも採択が広がっています。苫小牧市と千歳市も各2件ありました。

※事業者の掲載所在地による集計であり、新しい店舗・施設の建設場所や事業実施場所の集計ではありません。

卸売・小売業や農業など、幅広い既存業種から採択

申請者の既存の主たる業種採択件数
卸売業・小売業18件
製造業16件
農業・林業8件
宿泊業・飲食サービス業7件
情報通信業7件
その他28件
合計84件

製造業以外の既存業種が68件、全体の81.0%を占めています。

注意したいのは、この分類が「新しく始める事業」ではなく「申請者の既存事業」を示していることです。卸売業や建設業などから、飲食・宿泊へ進出する計画もあります。

※件数・割合・採択率は、公式の採択者一覧・採択結果概要を基にした当センター独自集計です。採択率は採択件数÷応募件数で計算しています。業種別の採択件数だけでは、その業種の採択されやすさは判断できません。

出典:旧新事業進出補助金の公式採択結果

採択計画から見る、新事業の具体例

では、どのような計画が採択されていたのでしょうか。公開された事業計画名を基に、具体例を紹介します。

掲載所在地・採択回採択された計画の概要
美深町・第1回自社栽培のそばを活用し、農家直営の飲食店を開業する計画
函館市・第2回水産加工の強みを活かし、常温で販売できる高付加価値な惣菜を開発して新規顧客を開拓する計画
千歳市・第4回うに加工の技術を活かし、体験型のうに丼専門店へ進出する計画
浦幌町・第4回酪農家が自牧場の資源を活用し、無添加コンビーフ缶詰の製造へ進出する計画
旭川市・第2回広い土地と築100年の納屋を活用し、ガーデン農泊へ進出する計画
札幌市・第1回運輸業の経験を活かし、軽貨物事業者向け運行管理システムを開発・販売する計画

食や農水産物を新しい商品・飲食サービスへ展開する計画だけでなく、土地・建物を使った宿泊事業や、既存業務の知見を活かしたITサービスも見られます。

これらは、自社が持つ素材・技術・経験を、新しい商品・サービスや顧客につなげる考え方の参考になります。「設備を買いたい」「建物を建てたい」から一歩進んで、何を誰に提供する事業なのかを考えることが大切です。

※旧制度の採択時の計画を紹介したもので、開業や事業実施の完了を確認した事例ではありません。また、採択理由を示すものでも、新制度で同じ計画が対象になることを保証するものでもありません。

活用を検討する方は、詳細条件も確認を

活用を考える場合は、まず設備の見積書・カタログや、建築工事の仕様・概算見積もりを集め、投資内容・金額・納期を確認しましょう。そのうえで、次の点を検討します。

  • 今の事業と比べて、どの商品・サービスと顧客が新しいのか
  • 新市場性または高付加価値性を、データ等で説明できるか
  • 必要な投資額に見合う売上・利益と、賃上げを継続できるか
  • 補助金が後払いであることを踏まえ、先に支払う資金を確保できるか

採択されただけでは、補助対象となる契約・発注はできません。交付決定を受けてから契約・発注する必要があります。準備と発注の時期を分けて進める必要があります。

北海道の採択計画を参考に自社の新事業の方向性が見えてきたら、補助金詳細ページで、補助対象者・賃上げ等の共通要件・対象経費・特例・注意点・申請から入金までの流れを確認してください。

新事業進出・ものづくり補助金の詳細はこちら

補助金申請をお考えの方は、経産省「認定支援機関」が運営する当センターへ、ぜひご相談ください

北海道補助金助成金サポートセンターでは、札幌市・苫小牧市・千歳市・恵庭市など道央地区や北海道内を中心に、自社での申請が難しい事業者に向けて各種補助金の申請サポートを行っています

当センターを運営する株式会社OTisは、経済産業省から認定を受けた中小企業経営支援に関する認定支援機関(経営革新等支援機関)。補助金のプロが相談から申請・実績報告まで徹底サポートさせていただきます。

これまでも国や地方自治体の様々な補助金のサポート実績がありますので、支援をご希望の方や、自社でも使えるかなどご相談は、電話、公式LINE、お問合せフォームなどでご連絡ください。お待ちしています。

北海道補助金助成金サポートセンター
電話:050-3124-0901
営業時間:平日9:00~18:00
(お問合せフォームでのお問合せは24時間承ります)

ご相談・お問い合わせはこちら

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■■■この記事の著者■■■

中小企業専門・補助金活用アドバイザー 矢農 誠

★経済産業省認定 経営革新等支援機関 株式会社OTis(オーティス)経営支援室 室長/北海道補助金助成金サポートセンター センター長。
★国の補助金から北海道ローカルの補助金まで幅広く対応。大型補助金だけでなく、大手コンサルが扱いにくい100万円規模の小規模な補助金にも対応。
★1979年生まれ。市議会議員、地場飲食店チェーン本部総務部長を経て現職。商工会議所認定ビジネス法務エキスパート。麻雀7段。

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