新事業進出・ものづくり補助金「革新的新製品・サービス枠」|設備投資の条件と北海道の採択事例

新事業進出・ものづくり補助金の革新的新製品・サービス枠を解説。設備投資・システム開発の条件と北海道の採択事例。

「新しい機械を導入して、これまで作れなかった製品を作りたい」
「自社の経験やノウハウを活かして、新しいサービスに使うシステムを開発したい」

こうした設備投資やシステム開発に補助金を活用したい事業者に知っていただきたいのが、新事業進出・ものづくり補助金です。

新しい製品・サービスの開発や新事業への進出などに取り組む中小企業等に対し、設備投資などにかかる費用の一部を支援する国の補助金です。

ただし、機械やシステムを導入すれば、どのような計画でも対象になるわけではありません。

この記事では、制度の概要から「革新的新製品・サービス枠」の使い道と条件、北海道の採択傾向、申請準備まで紹介します。

※制度条件は第1回公募要領等に基づく2026年10月18日時点の内容です。第1回の申請締切は2026年10月30日(金)18時です。

革新的新製品・サービス枠の概要。設備投資・システム開発を支援し、通常の補助上限は750万~2,500万円、通常の補助率は中小企業1/2、小規模事業者等2/3。
目次

新事業進出・ものづくり補助金とは?

正式名称は「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」です。新製品・新サービスの開発や新事業への進出などに必要な投資を支援し、中小企業等の成長や従業員への賃上げにつなげることを目的としています。

例えば、次のような取組に必要な設備やシステムなどへの投資が、支援の対象になります。

  • 自社の技術を活かして、新しい製品やサービスを開発する
  • 今までとは異なる顧客層に向けて、新しい事業を始める
  • 新たな海外販路を開拓するために、国内の製造・輸出体制を強化する

この補助金では、取り組む事業に応じて「申請枠」という区分が設けられています。新しい製品を開発する場合と、これまでとは異なる分野へ進出する場合では、選ぶ枠や必要な条件が変わります。

設備投資やシステム開発で検討したい「革新的新製品・サービス枠」

この記事で詳しく取り上げるのは、新製品・新サービスの開発に必要な設備投資等を支援する「革新的新製品・サービス枠」です。

旧ものづくり補助金との関係

この枠は、旧ものづくり補助金(製品・サービス高付加価値化枠)の後継補助金と言ってもよい位置づけです。

ただし、旧制度と申請条件がすべて同じではありません。過去の採択例を参考にする場合も、現在の公募要領で条件を確認する必要があります。

「ものづくり」という名称から、工場で製品を作る製造業向けの補助金と思われがちですが、製造業だけでなく、サービス業などでも活用できる補助金です。

設備やシステムを導入するだけでは対象にならない点に注意

では、導入したい機械や開発したいシステムがある場合、どのような点を考えれば良いのでしょうか。

この枠で必要なのは、設備やシステムの購入・開発だけでなく、その投資によって、どのような新製品・新サービスを開発するのかを説明することです。

加工機械、食品加工設備、計測・検査機器、顧客向けシステムへの投資と、新製品・新サービス開発との関係。

新製品・新サービスの開発を伴わず、次のような取組だけで終わる計画は対象外です。

  • 古い機械を同じような機械に買い替えるだけ
  • 既存の商品をより多く作る、作業時間を短くするだけ
  • 自社の請求書処理を速くするなど、社内業務を効率化するだけ

また、「当社では初めて作る商品だから、新製品に当たる」という説明だけでは足りません。同業の中小企業等で既に相当程度普及している製品・サービスの開発も、対象にはなりません。地域性の高い事業では、同じ地域の同業他社で普及しているかも関係します。

制度の対象となる事業について:公式サイト

どのくらい補助が受けられる?補助額と主な申請条件

通常の補助上限は750万~2,500万円で、従業員数によって異なります。一定の賃上げに取り組む事業者は、追加要件を満たすことで上限を引き上げる特例も利用できます。

従業員数通常の補助上限賃上げ特例適用時
1~5人750万円850万円
6~20人1,000万円1,250万円
21~50人1,500万円2,500万円
51人以上2,500万円3,500万円
  • 通常の補助率:中小企業者は1/2、小規模企業・小規模事業者、再生事業者は2/3
  • 補助下限:100万円

例えば、補助対象として認められる経費が税抜1,000万円、補助率が1/2の場合、補助金額は次のようになります。

税抜1,000万円 × 1/2 = 補助金500万円

設備代金の全額が補助されるわけではなく、残りの費用や対象外の経費は自社で負担する必要があります。

補助上限を引き上げる賃上げ特例では、補助事業終了後3~5年の事業計画で、次の条件などを満たす必要があります。

  • 一人当たり給与支給総額:年平均6.0%以上増やす
  • 事業場内最低賃金:毎年、地域別最低賃金より50円以上高い水準にする

また、別の特例として、地域別最低賃金の引上げに対応する事業者への補助率引上げもあります。適用条件や併用できない組合せがあるため、上限額だけで判断しないようにしましょう。

投資内容と、投資後の経営計画も確認が必要

応募申請時点で、常時使用する従業員がいない事業者は対象外です。代表者や会社役員は、この従業員数に含まれません。

投資内容には、次のような条件があります。

  • 機械装置・システム構築費が必須:機械や専用システムなど、事業に必要な設備等への投資を含める必要があります。
  • この枠では建物費は対象外:工場や店舗の新築・改修に補助金を使いたい場合は、別の枠も含めて確認します。
  • 設備等は原則として補助事業専用で使う:以前から行っている事業と共用することを前提にせず、対象となる使い方かを確認します。

投資後についても、補助事業終了後3~5年の事業計画で、次のような目標を達成することが基本要件になります。

主な要件求められる内容
付加価値額の増加営業利益・人件費・減価償却費の合計を、年平均4.0%以上増やす
従業員への賃上げ一人当たり給与支給総額を、年平均3.5%以上増やす
事業場内最低賃金毎年、地域別最低賃金より30円以上高い水準にする

特例による取扱いの違いはありますが、設備を導入して終わりではなく、投資によって収益を伸ばし、従業員への賃上げにつなげる計画が必要です。賃上げ等の要件を達成できなかった場合は、補助金の返還を求められることもあります。

このほか、次のような申請条件もあります。

  • 仕事と子育ての両立に関する取組:一般事業主行動計画の公表と、子育て等の職場環境整備の取組が必要です。
  • 金融機関から資金提供を受ける場合:資金提供元の金融機関に、事業計画を確認してもらう必要があります。

制度条件の出典:第1回公募要領1.3版(2026年9月28日変更)

北海道の採択傾向と、地域の仕事に結びつく活用例

設備やシステムの使い道を考えるうえでは、過去にどのような計画が審査で選ばれたのかも参考になります。このように、申請した事業計画が審査で選ばれることを「採択」といいます。

ここでは、旧ものづくり補助金の「製品・サービス高付加価値化枠」で採択された北海道の計画を見ていきます。

北海道の直近5回では、農林水産・食品関連が約40%

当センターでは、直近5回(第19~23次)で採択された北海道の事業計画、延べ169件を対象に、計画名から取組分野を分類しました。

分野採択件数割合
農林水産・食品関連67件39.6%
製造・加工関連(食品以外)40件23.7%
建設・測量・インフラ関連19件11.2%
IT・システム関連13件7.7%
医療・歯科・獣医療関連13件7.7%
自動車・船舶関連8件4.7%
その他サービス6件3.6%
計画名だけでは分野特定困難3件1.8%
合計169件100.0%

北海道の特徴的な採択事例として、道内の農水産物を新しい加工商品にしたり、農業に関わる設備・サービスへ展開したりする計画が見られます。

参考に全国の最新回(第23次・418件)を見ると、食品以外の製造・加工が約36%、IT・システムが約25%、農林水産・食品が約13%でした。全国の最新回では製造・加工やIT関連が上位ですが、北海道の5回分では、農林水産・食品関連の存在感が目立ちます。

※事業者の本業ではなく、採択計画が関係する分野を当センターで独自に分類しています。全国は第23次、北海道は第19~23次と対象期間が異なるため、大まかな傾向を見る参考比較であり、公式の業種別統計ではありません。いずれもグローバル枠を除いています。

北海道の特徴的な採択事例

直近5回の採択計画から、北海道の素材や産業、冬季の仕事に関係する使い方を紹介します。

北海道の採択計画の例。未利用魚の干物製造、レーザー計測ドローンによる森林資源調査、冬季作業車の防錆塗装。

図で取り上げた3例を含め、具体的な計画を表にまとめました。

分野採択された計画の概要採択回
水産物の加工冷風乾燥技術等と未利用魚を活用し、干物を製造・販売する計画第22次
農作業の受託サービスロボットトラクターを導入し、農作業を請け負うサービスへ参入する計画第19次
農機部品の加工金属を曲げる機械を導入し、農機部品の復旧事業に取り組む計画第19次
森林資源の調査レーザー計測技術を搭載したドローンを導入し、森林資源の調査サービス等を構築する計画第22次
酪農向けシステム酪農の牛ごとの情報を記録する電子カルテと、外部と情報共有する仕組みを使った新サービスを開発する計画第22次
冬季作業車への対応車両を持ち上げるリフトを導入し、冬季作業車の防錆塗装事業へ参入する計画第23次

ここで注目したいのは、農水産物の商品化に加え、農業・林業・酪農を支える機械加工・調査・システム開発の計画も採択されていることです。 自社で農業や水産業を営んでいなくても、地域の事業者に新しい製品・サービスを提供する計画が考えられます。

地域の素材や季節に応じて必要になる仕事も手がかりに、「自社の設備や技術で、身近な取引先のどのような要望に応えられるか」と考えてみてください。

※紹介しているのは旧制度の採択時の計画であり、事業の完了や成果を確認した事例ではありません。現行枠で同じ計画が対象になるとは限らず、設備等の費用も現在の対象経費に照らして確認する必要があります。

採択資料の出典:旧ものづくり補助金公式サイト・各回の採択者一覧

この補助金に挑戦するには?申請に向けた準備の進め方

この補助金に挑戦したい場合、どのような準備を進めれば良いでしょうか?

導入したい機械や開発したいシステムがある方は、見積書・カタログなどを集め、費用や仕様、納期を確認するところから始めましょう。システム開発では、どのような機能が必要か、どこまで開発するかを具体的にして、見積もりを依頼します。

その内容をもとに、次の順で事業計画を考えていきます。

  1. 設備やシステムを使って、何を開発するかを考える
    今までの製品・サービスと何が違い、顧客のどのような要望に応えるのかを明確にします。
  2. 誰に販売・提供し、どのように利益を出すかを考える
    見込んでいる顧客や販売方法、価格、費用を確認し、投資に見合う売上・利益につながるかを検討します。
  3. 賃上げと資金の見通しを確認する
    投資後に従業員への賃上げを続けられるか、補助金の入金前に設備代金等を支払えるかを確認します。

申請後、審査で採択されたら、対象となる経費などの確認を経て、補助金の交付を正式に決める「交付決定」を受けます。

採択されただけでは、補助対象となる契約・発注はできません。交付決定を受けてから契約・発注する必要があります。 見積書を集めて計画を考える時期と、実際に発注する時期を分けて進めてください。

補助金は原則として、設備導入や支払いを終え、使った経費や実施内容を報告する「実績報告」と、その確認を経てから入金されます。自己負担分だけでなく、設備代金等をいったん支払うための資金も必要です。

申請を検討する際は、補助金詳細ページで、対象となる事業者や経費、賃上げ等の要件、特例、申請から入金までの流れも確認してください。自社の計画に合う枠を選ぶために、他の枠との違いもまとめています。

新事業進出・ものづくり補助金の詳細はこちら

補助金申請をお考えの方は、経産省「認定支援機関」が運営する当センターへ、ぜひご相談ください

北海道補助金助成金サポートセンターでは、札幌市・苫小牧市・千歳市・恵庭市など道央地区や北海道内を中心に、自社での申請が難しい事業者に向けて各種補助金の申請サポートを行っています

当センターを運営する株式会社OTisは、経済産業省から認定を受けた中小企業経営支援に関する認定支援機関(経営革新等支援機関)。補助金のプロが相談から申請・実績報告まで徹底サポートさせていただきます。

これまでも国や地方自治体の様々な補助金のサポート実績がありますので、支援をご希望の方や、自社でも使えるかなどご相談は、電話、公式LINE、お問合せフォームなどでご連絡ください。お待ちしています。

北海道補助金助成金サポートセンター
電話:050-3124-0901
営業時間:平日9:00~18:00
(お問合せフォームでのお問合せは24時間承ります)

ご相談・お問い合わせはこちら

ご相談・お問い合わせはこちら

■■■この記事の著者■■■

中小企業専門・補助金活用アドバイザー 矢農 誠

★経済産業省認定 経営革新等支援機関 株式会社OTis(オーティス)経営支援室 室長/北海道補助金助成金サポートセンター センター長。
★国の補助金から北海道ローカルの補助金まで幅広く対応。大型補助金だけでなく、大手コンサルが扱いにくい100万円規模の小規模な補助金にも対応。
★1979年生まれ。市議会議員、地場飲食店チェーン本部総務部長を経て現職。商工会議所認定ビジネス法務エキスパート。麻雀7段。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次