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【2025年10月発表】ものづくり補助金 第20次採択結果|3回連続30%台の厳しい採択率と今後の見通し

2025年10月27日、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(通称:ものづくり補助金)第20次公募の採択結果が公表されました。
今回の採択率は33.6%(採択数825件/申請数2,453件)。前回・前々回に続き、3回連続で30%台という厳しい結果となりました。
申請件数が前回の半数以下に減少したにもかかわらず、採択率の改善は見られず、審査の厳しさが一層鮮明になったといえます。
背景には、審査方針の厳格化に加え、省力化投資補助金など他制度への申請シフトなど、複数の要因が重なっていると考えられます。
今後も採択率が30%台で推移する可能性が高く、事業計画書の完成度をいかに高めるかが、採択の可否を左右する重要なポイントとなりそうです。
1. ものづくり補助金とは?
「ものづくり補助金」は、中小企業・小規模事業者が新製品や新サービスの開発、生産プロセスの改善、事業再構築に向けた設備投資などを行う際に活用できる国の代表的な補助金制度です。
補助対象となるのは、機械装置・システム構築費、試作費、外注加工費など。
企業の生産性向上と競争力強化を目的としており、2013年度から継続的に実施されています。
採択されると、最大で4,000万円の補助を受けることが可能です。
ものづくり補助金は全国の中小企業が幅広く利用できる制度であり、特に北海道でも製造業・食品加工・建設業・IT関連企業など、多様な業種で採択実績があります。
2. 第20次採択結果の詳細と採択率分析|全国・北海道の動向
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 公表日 | 2025年10月27日 |
| 申請数 | 2,453件 |
| 採択数 | 825件 |
| 採択率 | 33.6% |
| 北海道採択社数 | 25社 |
第19次(申請5,336件・採択率31.8%)から申請件数は大幅に減少(約−54%)しましたが、採択率はほぼ横ばいの結果となりました。
つまり、「応募が減れば通りやすくなる」という単純な関係は崩れつつある状況です。
3. 申請数も減少した理由
前項で触れたとおり、今回は採択率が低いだけでなく、申請件数そのものも大きく減少しています。
背景には、近年新たにスタートした「省力化投資補助金」の影響があると考えられます。
この補助金は、AI・ロボット導入や自動化設備などを対象とした制度で、ものづくり補助金と重なる分野を多く持ちながら、比較的高い採択率を維持していることから、一定数の申請者がそちらへ移行したとみられます。
ただし、省力化投資補助金とものづくり補助金は国の予算枠が別立てであり、片方の採択枠がもう一方へ移動しているわけではありません。
むしろ結果的に、ものづくり補助金の申請件数が減少したにもかかわらず、採択件数もほぼ同じ比率で減ったことが今回の特徴といえます。
つまり、「応募が減れば通りやすくなる」という単純な構図はすでに崩れており、制度全体として採択件数を一定水準でコントロールしている可能性が高いと考えられます。
4. 採択率の推移(第14次〜第20次)
過去7回分の採択率を比較すると、50%前後だった時期から30%台前半へと明確に水準が下がり、厳格な審査が定着していることがわかります。
| 回次 | 採択率 |
|---|---|
| 第14次 | 50.8% |
| 第15次 | 50.2% |
| 第16次 | 48.8% |
| 第17次 | 29.4% |
| 第18次 | 35.8% |
| 第19次 | 31.8% |
| 第20次 | 33.6% |
この推移から見ても、かつては50%前後が一般的だった採択率が、現在では30%台前半が新しい基準となっていることが明らかです。
もはや「半数が採択される時代」ではなく、限られた採択枠の中で質の高い計画のみが選ばれる時代に移行しています。
5. 今後の見通しと採択に向けた実務ポイント
第20次の結果を踏まえると、今後もものづくり補助金の採択率は30%前後で推移する可能性が高いと見られます。
採択件数の調整や審査の厳格化は今後も続くと予想され、制度として「少数精鋭の採択」を維持する方向性が定着していると考えられます。
とくに、以下の傾向は今後さらに強まるでしょう。
- 事業化見込みや収益性を重視した採択基準へのシフト
- 汎用的な設備更新案件の通過難化
- 他補助金制度(省力化投資補助金など)とのすみ分けの明確化
こうした環境では、申請件数の多寡よりも、計画書の質と説得力が採択の可否を決める最大の要因となります。
「何をするか」だけでなく、「なぜその投資が必要なのか」「どう成果を生むのか」を論理的に説明できる申請が求められています。
採択を目指すための3つの実務ポイント
- 革新性の根拠をデータで示す
自社の新製品・新技術・新サービスの優位性を、競合比較や市場データなどの客観的情報で裏付けることが重要です。 - 事業化までの道筋を具体的に描く
売上計画、コスト構造、収益化のスケジュールなど、数値と根拠をセットで提示することで、審査側の信頼性評価が高まります。 - 専門家と連携して計画書の完成度を高める
認定経営革新等支援機関など、補助金申請に精通した専門家の助言を受けることで、採択率を大きく引き上げることができます。
採択率30%台という競争環境の中では、単なる設備投資の説明では不十分です。
審査官が「この事業は確実に成果を出せる」と納得できるレベルの資料構成と整合性が必要になります。
今後の公募に挑戦される場合は、早期に事業構想を固め、加点要素(DX化・GX化・賃上げ要件など)を明確に反映した計画書を準備することが、採択への最短ルートといえるでしょう。
6. まとめ|採択率30%台の時代に求められる準備とは
第20次ものづくり補助金の採択率は33.6%にとどまり、3回連続で30%台という結果となりました。
申請件数が減少しても採択率が上がらないという現象は、制度運用の方向性が「量より質」へ完全にシフトしていることを示しています。
今後も審査の厳格化と採択枠のコントロールは続く見込みであり、
「とりあえず申請してみる」姿勢では通らない時代に入ったといえるでしょう。
しかし、この状況は裏を返せば、しっかり準備をすれば十分に採択を狙える環境でもあります。
求められているのは、単なる設備投資計画ではなく、
- 自社の強みを明確にし、
- その投資がどのように生産性向上や地域経済へ貢献するのかを具体的に説明できる、
戦略的な事業計画書の作成です。
採択率が低い時期こそ、申請書の完成度が他社との差を大きく広げます。
次回以降の公募に備え、信頼できる専門家と連携しながら、早めの準備を進めていくことをおすすめします。
📘 参考リンク
- ものづくり補助金 | 北海道補助金助成金サポートセンター(制度詳細ページ)
- ものづくり補助事業公式ホームページ(ものづくり補助金総合サイト)(公式サイト)
補助金申請をお考えの方は、経産省「認定支援機関」が運営する当センターへ、ぜひご相談ください
北海道補助金助成金サポートセンターでは、札幌市・苫小牧市・千歳市・恵庭市など道央地区や北海道内を中心に、自社での申請が難しい事業者に向けて各種補助金の申請サポートを行っています。
当センターを運営する株式会社OTisは、経済産業省から認定を受けた中小企業経営支援に関する認定支援機関(経営革新等支援機関)。補助金のプロが相談から申請・実績報告まで徹底サポートさせていただきます。
これまでも国や地方自治体の様々な補助金のサポート実績がありますので、支援をご希望の方や、自社でも使えるかなどご相談は、電話、公式LINE、お問合せフォームなどでご連絡ください。お待ちしています。

北海道補助金助成金サポートセンター
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■■■この記事の著者■■■
中小企業専門・補助金活用アドバイザー 矢農 誠
★経済産業省認定 経営革新等支援機関 株式会社OTis(オーティス) 経営支援室 室長/北海道補助金助成金サポートセンター センター長。
★国と北海道ローカルの補助金を得意とし、大型補助金のみならず大手コンサルが扱わない100万円単位の小規模な補助金もフォロー出来ることが強み。
★1979年生まれ、市議会議員→地場飲食店チェーン本部総務部長→現職。商工会議所認定ビジネス法務エキスパート、麻雀7段。

