【2026年度の補助金はどうなる?】令和7年度補正予算で見えた中小企業向け支援の全体像

2025年11月28日に閣議決定された令和7年度補正予算で、2026年度に向けた中小企業向け補助金の方向性が見えてきました。本記事では「ものづくり補助金」「IT導入補助金(デジタル化・AI導入補助金)」「小規模事業者持続化補助金」「省力化投資補助金」「大規模成長投資補助金」などの継続・変更点を、中小企業・小規模事業者目線で整理します。


目次

2026年度の補助金はどうなる?今回のポイント整理

2025年度補正予算(中小企業対策)の位置づけ

まず前提として押さえておきたいのは、今回の内容はあくまで「令和7年度補正予算“案”」であり、国会での審議・成立を経て正式に決まる、という点です。とはいえ、中小企業庁が公表している資料を見る限り、2026年度の中小企業向け補助金の“骨格”はかなりはっきり見えています。

大きな流れとしては、

  • 物価高・人手不足・米国関税など、外部環境の変化への対応
  • 地域の「稼ぐ力」を高める成長投資の後押し
  • 最低賃金引上げを含む、持続的な賃上げの実現
  • 省力化・DX・AI導入による生産性向上

といった政策目的のもと、設備投資系の補助金を中心にしつつ、デジタル化・省力化・成長投資を束ねたパッケージとして組み立てられています。

中小企業・小規模事業者向けに馴染みのある「生産性革命推進事業」や「省力化投資補助金」に加え、中堅企業クラスの大規模投資を促す補助金に相当大きな予算を振っているのが今回の特徴です。

小規模〜中小企業が押さえるべき5つのキーワード

小規模〜中小企業の立場から見ると、2026年度の補助金を読み解くうえで、次の5つのキーワードを押さえておくと全体像がつかみやすくなります。

  1. ものづくり補助金は「縮小方向だが継続見込み」
  • 中小企業生産性革命推進事業の一角として続きますが、予算区分が「革新的製品等開発・新事業進出支援(既存基金1,200億円規模)」と同じ枠に入り、他事業と予算を分け合う形になります。
  • これまでより「限られた予算の中で、より厳選された案件を支援する」方向にシフトすると見ておいた方がよさそうです。
  1. IT導入補助金 → 「デジタル化・AI導入補助金」へ名称変更
  • 従来のIT導入補助金に相当する枠が、「デジタル化・AI導入補助金」という名前で整理されました。
  • 業務効率化やDXだけでなく、AI活用・サイバーセキュリティ・インボイス対応などを含めた広い意味でのデジタル投資が対象イメージです。
  1. 「持続化」「事業承継・M&A」「中小企業成長加速化」はセットで継続
  • 生産性革命推進事業の中核として、
    • 小規模事業者持続化補助金
    • 事業承継・M&A補助金
    • 中小企業成長加速化補助金
    が引き続き位置づけられており、「定番メニューは基本的に継続」というメッセージが読み取れます。
  1. 省力化投資補助金は継続+「業種別プラン」が重要に
  • 既存基金を活用した「省力化投資支援」として1,800億円規模の枠が確保され、「業種別の省力化投資促進プラン」を踏まえた設備投資を強く後押しする内容になっています。
  • 省力化投資補助金自体は継続しつつ、業種ごとのモデルに沿った取り組みかどうかが、今後より重視されると考えられます。
  1. 「大規模成長投資補助金」に非常に大きな予算を配分
  • 中堅・中小・スタートアップ向けの「大規模成長投資補助金」に、4,121億円(うち新規2,000億円)が計上されており、補助金全体の中でも突出した規模です。
  • 小規模事業者にとって直接の対象になるケースは多くありませんが、「地域をけん引する中堅企業の成長投資を強く後押しする」という政府のメッセージとして、間接的な影響は無視できません。

これら5つのキーワードを念頭に置くと、「うちの会社に関係しそうな補助金はどこか」「どの分野に力を入れようとしているのか」が、ぐっと見えやすくなります。


2.2025年度補正予算の全体像と規模感

まずは、今回の補正予算案のうち、小規模〜中小企業に特に関係が深い補助金パッケージだけを、ざっくり整理します。

区分事業名・枠組みおおまかな内容規模感(予算ベース)備考
成長投資(大規模)中堅等大規模成長投資補助金中堅・中小・スタートアップによる工場新設・大型設備投資などを支援4,121億円(うち新規2,000億円)直接の対象は主に中堅企業クラス。
生産性向上(定番パッケージ)中小企業生産性革命推進事業「中小企業成長加速化」「デジタル化・AI導入(旧IT導入)」「小規模事業者持続化」「事業承継・M&A」などを束ねた枠3,400億円小規模〜中小企業が最も利用しやすい“定番”枠。販路開拓・IT導入・事業承継・成長投資まで幅広くカバー。
新製品・新事業革新的製品等開発・新事業進出支援(基金)新製品・新サービス開発や新事業進出のための設備投資などを支援。いわゆる「ものづくり補助金」もここから支援される想定。既存基金を活用し 1,200億円規模ものづくり補助金・新事業進出補助金が同じ「お財布」を分け合う形となり、予算はややタイトに。
省力化・自動化省力化投資支援(基金)省力化投資補助金などを通じて、人手不足を補う設備・機器導入を支援。「業種別省力化投資促進プラン」に沿った投資を重視。既存基金を活用し 1,800億円規模飲食・小売・建設・医療介護など、人手不足業種の小規模〜中小企業にとって重要な設備投資系のメイン枠。
その他伴走支援・金融支援 等商工会議所等による伴走支援、信用保証・金融支援、事業再生支援など別枠で複数メニュー直接の「補助金」ではないが、申請支援や資金繰り面で補完的な役割を担う。

この表からわかるように、小規模〜中小企業にとっての実務的な“主戦場”は、

  • 持続化・デジタル化・AI関連の生産性革命推進事業
  • ものづくり・新事業進出系の設備投資
  • 省力化投資補助金

といった、これまでおなじみの系統になります。

一方で、「中小企業成長加速化補助金」や「大規模成長投資補助金」の動きは、直接の申請対象になるかどうかに関わらず、地域のけん引役となる企業の投資動向を読む指標として押さえておくとよいでしょう。


3. 「ものづくり補助金」は縮小方向?新事業進出補助金との関係

3-1. 予算枠の位置づけと縮小方向の可能性

今回の補正予算案では、資料上「ものづくり補助金」という名前は前面に出てきませんが、既存基金1,200億円規模の「革新的製品等開発・新事業進出支援」の中で継続される方向とみられます。
一方で、ものづくり系と新事業進出系が同じ基金(お財布)を分け合う構造になるため、従来よりも予算がタイトになる可能性が高い点には注意が必要です。

もともと、ものづくり補助金はここ数年、採択率30%台の厳しい競争が続いており、今回の枠組み変更で大幅に採択率が改善するとは考えにくい状況です。
2026年度も、

  • 引き続き「激戦」の公募が続くこと
  • 採択される案件は、より厳選されること

を前提に準備しておくのが現実的でしょう。

3-2. 高付加価値・高生産性案件への集中がカギ

そのうえで求められるのは、高付加価値・高生産性にどれだけ寄与する投資かをはっきり示すことです。単なる設備の入れ替えではなく、

  • 付加価値額・人時生産性のどの部分が、どれくらい改善するのか
  • それが賃上げや人材確保につながるストーリーを描けているか

といった点を、申請書の段階から明確にしておくことが、2026年度のものづくり補助金を狙ううえでの重要なポイントになります。


4. IT導入補助金から「デジタル化・AI導入補助金」へ

4-1. 名称変更に込められた方向性

従来の IT導入補助金に相当する枠は、今回の資料では「デジタル化・AI導入補助金」という名称で示されています。
名称に「AI導入」が入ったことで、業務のデジタル化だけでなく、AIを活用した高度な生産性向上にも予算を振り向けていく方向性がうかがえます。

ただし、現時点で公表されているのはあくまで補正予算案と概要レベルの情報であり、

  • 対象となるツールや経費の範囲
  • 補助率・補助上限
  • 加点項目や賃上げ要件

といった実務に直結する部分は、まだ明らかになっていません。したがって、「従来の業務効率化ソフトが対象外になる」といった極端な見方は避けるべきで、これまでのIT導入補助金が担ってきた「中小企業のデジタル化支援」という役割は、一定程度引き継がれると考えるのが妥当です。

4-2. 詳細判明までに準備しておきたいこと

中小企業側として今できる準備は、

  • 自社の業務の中で、ムダや手作業が多いプロセスを洗い出しておくこと
  • その中から、「デジタル化やAI活用で改善できそうなテーマ」を整理しておくこと

この2点に絞っておけば十分です。
具体的なツール選定や申請方針は、今後公表される公募要領や事務局サイトの情報を確認したうえで詰めていく流れになります。


5. 「小規模事業者持続化」「事業承継・M&A」「中小企業成長加速化」はセットで継続

令和7年度補正予算案でも、「中小企業生産性革命推進事業」は定番パッケージとして維持され、その中核となる4本柱(持続化/デジタル化・AI/事業承継・M&A/成長加速化)も継続される方向性が示されています。

これら4つの補助金はいずれも枠組み自体は続く方向性が示されており、ここでは現行制度をベースに役割だけを整理しておきます。なお、補助上限や要件などの細かな部分は、2026年度の公募で変更される可能性があります。


5-1. 生産性革命推進事業の4本柱の整理

※補助上限・補助率は現行公募ベースの目安です。2026年度公募で変更される可能性があります。

補助金名主な目的補助上限(現行目安)補助率(現行目安)
小規模事業者持続化補助金小規模事業者の販路開拓・経営改善を、小さめの投資で後押しする通常枠 50万円(各種加算で最大250万円程度)原則 2/3(賃上げ+赤字事業者は 3/4)
デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)業務のデジタル化・DX・AI活用を通じて生産性を高める類型により150〜450万円程度概ね 1/2〜2/3 程度(枠により異なる)
事業承継・M&A補助金事業承継・M&A・再チャレンジに伴う投資や専門家活用を支援する類型により約800〜1,000万円2/3 または 1/2(区分による)
中小企業成長加速化補助金売上100億円を目指す中小企業の、大型成長投資を後押しする5億円1/2

5-2. 小規模事業者にとっての「持続化補助金」継続の意味

小規模事業者持続化補助金は、

  • 従業員数がごく少ない事業者でも利用しやすい
  • 販路開拓・店舗改装・チラシやホームページ作成など、「身の丈に合った投資」を支援する

という特徴から、これまでも「はじめての補助金」の入口として機能してきました。

いきなり数百万円〜数千万円規模の投資は難しい事業者や、
まずは小さく販路開拓・DXに挑戦したい個人事業主・小規模企業にとって、
今後も現実的に使いやすい選択肢として位置づけられる点が、この補助金の大きな意味合いと言えます。


5-3. 事業承継・M&A補助金は「選択肢を増やす」ための枠として継続

事業承継・M&A補助金は、

  • 親族内承継・従業員承継などの事業承継に伴う設備投資・専門家費用
  • M&Aに伴う調査・統合作業の専門家費用
  • 廃業や再チャレンジにかかる費用

といった支出を支える制度です。

人口減少や後継者不在が進む中で、この補助金が担う役割は、
「廃業するしかない」状況を少しでも減らし、承継・M&A・再チャレンジという複数の選択肢を取りやすくすることにあります。
今後も、中小企業が事業の“出口戦略”や世代交代を考える際の、重要な選択肢であり続けると考えられます。


5-4. 中小企業成長加速化補助金は「一段上の成長フェーズ」向けに継続

中小企業成長加速化補助金は、

  • 売上数十億〜100億円クラスを目指す中小企業
  • 数億〜数十億円規模の成長投資を計画している企業

といった、「一段上の成長フェーズ」に入った企業向けの補助金です。

補助上限5億円・補助率1/2というスケール感からも、
小規模事業者がいきなり申請するタイプではなく、

  • 将来そこを目指すための“上の段”として意識しておく
  • 取引先や地域の中堅企業の投資動向を映す指標としてチェックする

といった付き合い方が現実的な制度だと言えるでしょう。


6. 省力化投資補助金の継続と「業種別省力化投資促進プラン」

6-1. 基金継続と高採択率、「目玉補助金」としての位置づけ

省力化投資補助金は、2025年度に5回公募が行われ、第1〜3回事務局発表ベースで採択率60%台が続いた、高採択率の補助金でした。
「きちんと準備すれば、現実的に採択が狙える設備投資系補助金」として、政府が中小企業支援の目玉の一つと位置づけていると考えてよいでしょう。

今回の補正予算でも、既存基金を活用した約1,800億円規模の省力化投資支援枠が確保されており、2026年度も枠組みを変えつつ継続される見込みです。

観点ポイント
2025年度の動き5回公募が実施され、第1〜3回はいずれも採択率60%台と高水準が続いた
政策上の位置づけ人手不足・賃上げに直結する「省力化」を進めるための、看板的な補助金
2026年度の見通し既存基金1,800億円規模の枠で継続見込み。再チャレンジの機会も続く可能性が高い

6-2. 「業種別省力化投資促進プラン」とは何か

あわせて強調されているのが、「業種別省力化投資促進プラン」を踏まえた省力化投資という考え方です。
人手不足が深刻な業種ごとに、「どんな投資が省力化効果を出しやすいか」を整理した“モデル集”のような位置づけです。

代表的なイメージだけ、表でまとめると次の通りです。

業種例省力化の方向性の例(イメージ)
飲食業調理・配膳ロボット、セルフオーダー・セルフレジ、厨房レイアウト見直し
小売業自動釣銭機・セルフレジ、在庫管理・発注の自動化
建設業ICT建機・ドローン計測、現場管理のデジタル化
医療・介護見守りセンサー、記録業務の電子化・音声入力 等

今後の公募では、こうしたモデルに沿った投資かどうかが、これまで以上に意識される可能性があります。


6-3. 今後の申請で意識しておきたいポイント

詳細な公募要領はこれからですが、現時点で「おそらく見られる」と考えておきたいポイントを、簡潔に整理しておきます。

見られそうなポイント内容のイメージ
業種別プランとの整合性業種別省力化投資促進プランに近い設備・やり方になっているか
ボトルネックの明確化自社のどの業務が人手不足・長時間労働の原因か、具体的に書けているか
効果の定量化「何人分の作業削減」「残業時間○%減」など、効果を数字で示せているか

2025年度前半のような比較的高い採択率が続く可能性はありますが、認知が広がれば応募も増えます。
「高採択率だから安心」と油断せず、上記のポイントを押さえて丁寧に計画・申請書を作ることが、2026年度も変わらず重要になりそうです。


7. 「大規模成長投資補助金」に見る政府のメッセージ

7-1. 予算規模が示す「中堅企業を育てたい」という方向性

大規模成長投資補助金には、4,121億円(うち新規2,000億円)という非常に大きな予算が計上されています。
これは他の中小企業向け補助金と比べても突出した規模であり、

  • 売上規模の大きい中堅企業や成長志向の中小企業に
  • 工場新設・設備増設・物流拠点整備などの大規模な成長投資を一気に進めてほしい

という、政府からの強いメッセージだと受け取れます。

「日本の中小企業の中から、地域やサプライチェーンをけん引する中堅企業を育てたい」という政策意図が、金額面からもはっきり表れた形と言えるでしょう。


8. まとめと今後の情報収集のポイント

8-1. 2026年度の補助金の全体像をおさらい

2026年度に向けた中小企業向け補助金は、この記事で見てきたように、
生産性向上・省力化・デジタル化・成長投資に重心が置かれた構造になっていくと考えられます。

細かい要件やスケジュールは、今後公表される公募要領を待つ必要がありますが、現時点でできる範囲としては、

  • 自社の省力化・デジタル化のテーマを整理しておくこと
  • どの補助金が自社の規模・ステージに合いそうか見当をつけておくこと
  • 数年単位での成長・承継・投資の方向性を、社内で一度言語化しておくこと

このあたりを、軽くでも準備しておくと、公募開始後に動きやすくなります。


8-2. 今後の情報収集のポイントと参考リンク

具体的な要件・スケジュール・申請のポイントについては、以下のページをあわせてご覧いただくと整理しやすいと思います。

▼ 当サイト内の補助金まとめページ(制度ごとの詳しい解説)

▼ 令和7年度補正予算案の公式情報(全体像の確認用)

今後、各補助金の公募開始・採択結果などが順次発表されますので、公式サイトとあわせて、当サイトの制度別まとめページもチェックいただければ、2026年度の補助金活用のイメージがより具体的になると思います。

補助金申請をお考えの方は、経産省「認定支援機関」が運営する当センターへ、ぜひご相談ください

北海道補助金助成金サポートセンターでは、札幌市・苫小牧市・千歳市・恵庭市など道央地区や北海道内を中心に、自社での申請が難しい事業者に向けて各種補助金の申請サポートを行っています。

当センターを運営する株式会社OTisは、経済産業省から認定を受けた中小企業経営支援に関する認定支援機関(経営革新等支援機関)。補助金のプロが相談から申請・実績報告まで徹底サポートさせていただきます。

これまでも国や地方自治体の様々な補助金のサポート実績がありますので、支援をご希望の方や、自社でも使えるかなどご相談は、電話、公式LINE、お問合せフォームなどでご連絡ください。お待ちしています。

北海道補助金助成金サポートセンター
電話:050-3124-0901
営業時間:平日9:00~18:00
(お問合せフォームでのお問合せは24時間承ります)

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■■■この記事の著者■■■

中小企業専門・補助金活用アドバイザー 矢農 誠

★経済産業省認定 経営革新等支援機関 株式会社OTis(オーティス) 経営支援室 室長/北海道補助金助成金サポートセンター センター長。
★国と北海道ローカルの補助金を得意とし、大型補助金のみならず大手コンサルが扱わない100万円単位の小規模な補助金もフォロー出来ることが強み。
★1979年生まれ、市議会議員→地場飲食店チェーン本部総務部長→現職。商工会議所認定ビジネス法務エキスパート、麻雀7段。

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