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小規模企業でも活用可能?補助金とつなぎ融資

~補助金の「後払い構造」を理解し、資金繰りを計画的に~
補助金を活用した設備投資を検討する際に、意外と見落とされがちなのが「資金の流れ」です。
多くの補助金は、「支払いが先で、補助金の入金は後」という後払いの仕組みになっています。
補助事業の一般的な流れは、
「発注 → 納品 → 支払い → 実績報告 → 補助金の入金」
という順序です。
このため、たとえ補助率が2/3であっても、実際には一時的に全額を支払う資金を用意する必要があります。
「自己負担は1/3だから安心」と思っていたのに、いざ実施段階になって資金繰りに悩む――そんなケースは少なくありません。
■ 補助事業の資金フロー(後払い構造のイメージ)
| 流れ | 主な内容 | 補足 |
|---|---|---|
| ① 発注 | 設備・サービスを発注 | 補助金交付決定後に実施 |
| ② 納品 | 納品・検収完了 | 支払い準備が必要 |
| ③ 支払い | 全額を一時的に支出 | 自己資金または融資で対応 |
| ④ 実績報告 | 事業完了報告を提出 | 書類不備で遅延する場合も |
| ⑤ 補助金入金 | 補助金が振込まれる | 数か月~1年後が目安 |
📌 ポイント:
補助金は「後払い」であるため、事業を実施する段階では一時的に全額の資金を確保しておく必要があります。
■ 補助事業資金と融資の活用
「ものづくり補助金」「省力化投資補助金」「新事業進出補助金」などの大型補助金では、この資金手当(=資金調達計画)が審査項目として重視されています。
融資を組み合わせて実施する場合には、金融機関から「金融機関確認書」の提出を求められるケースもあります。
ただし、この確認書は「融資が確定した」という意味ではありません。
実際には、補助事業の計画段階から金融機関と情報を共有しながら、融資の可否や条件を丁寧にすり合わせていくことが大切です。
また、交付決定から補助金の入金までには数か月から1年以上かかることもあります。
数千万円規模の設備投資を自社資金のみで賄うのは現実的ではなく、早い段階で金融機関と連携し、資金計画を明確にしておくことが不可欠です。
■ 小規模な補助金でも「つなぎ融資」活用の可能性
一方で、「小規模事業者持続化補助金」など比較的規模の小さい補助金でも、資金繰りに課題が生じることがあります。
たとえば、設備投資額が300万円で補助金額が200万円の場合、入金までの期間が短くても、300万円を一時的に調達することが難しい企業も多いでしょう。
そのような場合に活用されるのが「つなぎ融資」です。
補助金の入金を待つ間、短期的に資金を調達し、入金後に返済する仕組みです。
もちろん、大型補助金でも同じ考え方が使えます。
【図解】つなぎ融資の流れ
補助事業計画作成
↓(金融機関に相談)
採択決定
↓(短期融資実行)
補助事業の実施・支払い
↓
補助金入金
↓
融資を一括返済
📌 ポイント:
「補助金の入金をもとに返済する」という流れを、金融機関と事前に共有しておくことが重要です。
採択後に慌てて相談するのではなく、計画段階から資金繰りを設計しておくことが理想です。
■ つなぎ融資の実例
💬 実例:創業間もないサービス業のケース
採択後、地元信用金庫に相談し、200万円の短期融資を受けて設備導入を実施。
補助金入金後に一括返済を行い、資金繰りを崩さずに事業を完了。一方で、資金確保ができず申請を諦める例が多数あります。
「採択=安心」ではなく、「資金確保こそが実行の前提」という意識が大切です。
このように、補助金を「使える資金」として活用するためには、つなぎ融資を含めた現実的な資金設計が欠かせません。
■ 融資を受けやすくするための準備
つなぎ融資をスムーズに実行するためには、次のような準備が効果的です。
- 補助事業計画書・収支計画書・資金繰り表を整備しておく
- 採択通知を受けたら早めに金融機関へ共有する
- 日ごろから取引のある金融機関を優先して相談する
- 信金・信組・日本政策金融公庫など複数の選択肢を検討する
また、補助金の入金が遅れた場合に備え、返済スケジュールや金利条件をあらかじめ確認しておくことも重要です。
実績報告書の不備や審査の遅延などで入金が後ろ倒しになることもあるため、資金繰り表を常に更新しておくことがリスク回避につながります。
■ 「資金不足で補助金を諦めない」ための選択肢
つなぎ融資は、補助金制度に正式に組み込まれた仕組みではありませんが、
「手元資金が足りないために補助金を活用できない」という課題を解決する、現実的で実務的な手段です。
補助事業計画書の作成を通じて、自社の事業計画や投資目的が整理されることで、金融機関への説明もしやすくなるという副次的な効果もあります。
補助金と融資の両輪で計画を立てることが、事業実施を確実に進めるポイントです。
■ まとめ ~補助金を「採択で終わらせない」ために~
補助金は「採択=資金確保」ではなく、「採択=事業実施への第一歩」です。
「支払いが先、補助金の入金は後」という仕組みを踏まえて、
補助金と融資を組み合わせた資金計画を立てることで、無理のない事業実行につながります。
💬 ワンポイントアドバイス:金融機関との付き合い方
つなぎ融資を相談する際は、補助金採択通知だけでなく、
「なぜこの投資が自社の成長につながるのか」を具体的に説明することが大切です。
金融機関は“返済可能性”だけでなく、“事業の持続性”を重視しています。
「資金繰りの壁で補助金を諦める」のではなく、
「資金計画を工夫して補助金を活かす」視点を持ち、
小規模事業者であっても、つなぎ融資を現実的な選択肢のひとつとして検討してみてください。
■ ご相談ください ― 小規模事業者の補助金活用を支援します
北海道補助金助成金サポートセンターでは、補助金活用が初めてという小規模事業者の支援実績を多数有しています。
資金繰りやつなぎ融資のご相談も含め、事業計画から申請・実施まで一貫してサポートいたします。
「補助金を活用したいが、資金面が不安」
「金融機関にどう相談すれば良いか分からない」
という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
自社の状況に合わせた、無理のない資金計画づくりを一緒に検討いたします。
補助金申請をお考えの方は、経産省「認定支援機関」が運営する当センターへ、ぜひご相談ください
北海道補助金助成金サポートセンターでは、札幌市・苫小牧市・千歳市・恵庭市など道央地区や北海道内を中心に、自社での申請が難しい事業者に向けて各種補助金の申請サポートを行っています。
当センターを運営する株式会社OTisは、経済産業省から認定を受けた中小企業経営支援に関する認定支援機関(経営革新等支援機関)。補助金のプロが相談から申請・実績報告まで徹底サポートさせていただきます。
これまでも国や地方自治体の様々な補助金のサポート実績がありますので、支援をご希望の方や、自社でも使えるかなどご相談は、電話、公式LINE、お問合せフォームなどでご連絡ください。お待ちしています。

北海道補助金助成金サポートセンター
電話:050-3124-0901
営業時間:平日9:00~18:00
(お問合せフォームでのお問合せは24時間承ります)
ご相談・お問い合わせはこちら
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■■■この記事の著者■■■
中小企業専門・補助金活用アドバイザー 矢農 誠
★経済産業省認定 経営革新等支援機関 株式会社OTis(オーティス) 経営支援室 室長/北海道補助金助成金サポートセンター センター長。
★国と北海道ローカルの補助金を得意とし、大型補助金のみならず大手コンサルが扱わない100万円単位の小規模な補助金もフォロー出来ることが強み。
★1979年生まれ、市議会議員→地場飲食店チェーン本部総務部長→現職。商工会議所認定ビジネス法務エキスパート、麻雀7段。

